副業で少し収入が出てきたら、気になるのが税金のこと。「20万円までは申告しなくていい」と聞いたことがある人も多いと思います。
でも、この「20万円ルール」は、所得税の確定申告の話であって、住民税は別です。ここを勘違いしていると、後から困ることがあります。
私は30代の会社員で、副業としてこのブログを書いています。この記事では、国税庁などの公式情報をもとに、副業を始めたばかりの会社員が知っておきたい税金の基本をまとめます。
この記事の結論
- 20万円ルール:会社員で、給与以外の所得が年20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要
- 「収入」ではなく「所得」:所得=収入から経費を引いた額
- 住民税は別:20万円以下でも、住民税の申告は必要
- やっておくこと:収入と経費の記録、レシートの保管を、始めた時から
会社員の副業と「20万円ルール」
国税庁の案内では、会社に勤めて給与をもらっている人で、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は、確定申告が必要とされています。
| 給与以外の所得(1年間) | 所得税の確定申告 |
|---|---|
| 20万円以下 | 原則として不要 |
| 20万円を超える | 必要 |
※年収が2,000万円を超える人など、ほかの理由で確定申告が必要な人もいます。
2025年の税制改正(基礎控除などの見直し)の後も、この20万円の基準は変わっていません。国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(令和8年4月1日現在の法令等)でも、同じ基準が案内されています。
20万円の合計に含めなくていい所得
国税庁の案内では、次のような所得は、20万円の合計に含めません。
- 特定口座(源泉徴収あり)での株式・投資信託の売却益で、確定申告をしないことを選んだもの
- 上場株式等の配当などで、確定申告をしないことを選んだもの
- 預貯金の利子(源泉分離課税のもの)
つまり、源泉徴収ありの特定口座で投資をしている分は、ブログなどの副業の所得と合算しなくて大丈夫です。
勘違いしやすいポイント
1. 「収入」ではなく「所得」で判断する
20万円は「収入」ではなく、「所得」=収入から経費を引いた額で判断します。
| 例 | 金額 |
|---|---|
| 副業の収入 | 30万円 |
| 副業の経費(サーバー代など) | 12万円 |
| 所得(収入−経費) | 18万円 → 20万円以下 |
収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です。逆に、経費の記録がないと、所得を正しく計算できません。
2. 住民税は、20万円以下でも申告が必要
20万円ルールは、所得税の確定申告の話です。住民税には、この20万円ルールがありません。
確定申告をしない場合でも、副業の所得があれば、住んでいる市区町村に住民税の申告をする必要があります。手続きは市区町村によって違うので、市区町村の案内を確認してください。
3. 確定申告をすると、20万円以下の所得も含めて申告する
医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業の所得も含めて申告する必要があります。
20万円以下でも、確定申告をすることになるケース
20万円以下なら確定申告は「不要」ですが、「してはいけない」わけではありません。次のような場合は確定申告をすることになり、そのときは副業の所得も含めて申告します。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 医療費控除を受けたい | 確定申告でしか受けられない |
| ふるさと納税で、ワンストップ特例を使わない(寄付先が6か所以上など) | 確定申告で寄附金控除を受ける |
| 住宅ローン控除の1年目 | 1年目は確定申告が必要(2年目以降は年末調整で受けられる) |
| 原稿料など、源泉徴収された報酬がある | 申告すると、取られすぎた税金が戻ることがある |
副業の所得の種類
副業の種類によって、所得の区分が変わります。
| 副業の例 | 主な所得の区分 |
|---|---|
| ブログ・アフィリエイト、フリマでの継続的な販売など | 雑所得(規模や継続性によっては事業所得) |
| アルバイト・パート | 給与所得 |
| 株式・投資信託(NISA以外の口座) | 譲渡所得・配当所得など |
※区分の判断は状況によって変わります。迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
ブログの副業の所得は、多くの場合「雑所得」になります。雑所得について知っておきたい点は次のとおりです(国税庁 No.1500「雑所得」より)。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 赤字は給与と相殺できない | 雑所得の赤字は、給与所得などと損益通算できない |
| 書類の保存 | 前々年の副業(業務に係る雑所得)の収入が300万円を超える人は、請求書・領収書などの保存が必要 |
| 収支内訳書の添付 | 前々年の収入が1,000万円を超える人は、確定申告書に収支内訳書などの添付が必要 |
なお、帳簿をつけて保存していないと、事業所得ではなく雑所得として扱われることがあります。副業を大きく育てたい人は、最初から記録を残しておくのが安心です。
なお、新NISAの口座で得た利益は非課税なので、確定申告の対象にはなりません。
副業を始めたら、最初からやっておくこと
収入と経費を記録する
月ごとに、いくら収入があって、何にいくら使ったかを記録しておきます。表計算ソフトの簡単な表で十分です。
レシートや領収書を保管する
ブログなら、サーバー代、ドメイン代、テーマ代など、副業のために使ったお金が経費になる可能性があります。レシートや領収書、利用明細を保管しておきましょう。
会社の就業規則も確認する
副業を始める前には、税金だけでなく、会社の就業規則も確認しておきましょう。許可や申請が必要な会社もあります。副業を始める前の確認事項は、副業を始める前のチェックリストにまとめています。
ケース別:確定申告が必要かどうか
会社員で、給与を1か所からもらっている場合の例です。
| ケース | 副業の収入 | 経費 | 所得 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 15万円 | 3万円 | 12万円 | 原則不要 | 必要 |
| B | 30万円 | 15万円 | 15万円 | 原則不要 | 必要 |
| C | 40万円 | 10万円 | 30万円 | 必要 | 確定申告をすれば、別に住民税の申告は不要 |
Bのように、収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要です。ただし、住民税の申告は必要です。
※医療費控除などで確定申告をする場合は、ケースA・Bでも副業の所得を含めて申告します。
ブログの副業で、経費になりやすいもの
ブログのような副業では、次のような支出が経費になる可能性があります。
| 経費になりやすいもの | 注意点 |
|---|---|
| レンタルサーバー代 | 副業のためだけに使っているなら全額 |
| ドメイン代 | 同上 |
| WordPressのテーマ代など | 同上 |
| 副業のための書籍 | 副業の内容に関係するもの |
| パソコン・スマホ・通信費 | 私用と兼ねている場合は、副業で使った割合だけ(按分) |
私用と兼ねているものは、副業で使った割合だけを経費にする必要があります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
確定申告の大まかな流れ
- 1年間(1月〜12月)の収入と経費を集計する
- 会社からもらった源泉徴収票を用意する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作る:画面の案内に沿って入力すると、税額が計算されます
- e-Taxで提出するか、印刷して税務署に提出する
- 税金を納める(納める税金がある場合)
期限は、原則として翌年の3月15日です。
住民税の申告の流れ(確定申告をしない場合)
所得税の確定申告をしない場合でも、副業の所得があれば、住んでいる市区町村に住民税の申告をします。申告書は市区町村の窓口やホームページで手に入ります。期限や手続きは市区町村によって違うので、案内を確認してください。
経費の記録は、簡単な表で十分
経費の記録は、難しい会計ソフトを使わなくても、表計算ソフトの簡単な表で始められます。
| 日付 | 内容 | 収入 | 経費 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 1月10日 | レンタルサーバー代(12か月分) | 1万円 | 領収書あり | |
| 1月31日 | アフィリエイト報酬(確定分) | 3,000円 | ASPの明細 | |
| 2月5日 | 副業のための書籍 | 2,000円 | レシートあり |
月に1回、まとめて記録するだけでも、年末の集計がかなり楽になります。
住民税の納め方は、確定申告の時に選べる
会社員の住民税は、通常、給与から天引きされています(特別徴収)。副業の所得がある場合、確定申告書には、給与以外の所得にかかる住民税を「自分で納付(普通徴収)」にするか、「給与から差し引き(特別徴収)」にするかを選ぶ欄があります。
選べる範囲や扱いは、所得の種類や市区町村によって違います。詳しくは、住んでいる市区町村に確認してください。
なお、会社の規則で副業に申請や許可が必要な場合は、住民税の納め方にかかわらず、申請しておくことが前提です。
e-Taxで申告する時に用意するもの
| 用意するもの | 用途 |
|---|---|
| マイナンバーカード | e-Taxでの本人確認 |
| マイナンバーカードを読み取れるスマホ(またはカードリーダー) | カードの読み取り |
| 源泉徴収票 | 会社からの給与の情報 |
| 副業の収入と経費の集計 | 所得の計算 |
スマホでも申告できるので、税務署に行かずに済みます。
よくある質問
副業がまだ赤字です。何か手続きは必要ですか?
所得がマイナス(赤字)の場合は、所得税の確定申告は原則不要です。なお、雑所得の赤字は、給与と相殺(損益通算)できないので、申告しても会社の給与の税金は戻りません。住民税の扱いは市区町村によって違うので、案内を確認してください。
インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしていたら?
インボイスの登録をして消費税の課税事業者になっている場合は、副業の所得が20万円以下でも、消費税の申告が必要です。ブログのアフィリエイトだけなら登録していない人が多いと思いますが、登録している人は注意してください。
確定申告はいつ、どこでしますか?
所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日〜3月15日に行います。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、ネットで作成・提出できます。
会社に副業が知られることはありますか?
副業の所得が増えると、住民税の額が変わるため、会社の給与担当者が気づくことがあります。会社の規則で申請や許可が必要な副業なら、きちんと申請しておくことが前提です。
アフィリエイトの報酬は、いつの収入になりますか?
一般的には、報酬が確定した時点の年の収入として扱います。ASPの管理画面で、年ごとの確定報酬を確認しておくと集計が楽になります。
まとめ
- 会社員で、給与以外の所得が年20万円を超えたら、所得税の確定申告が必要
- 20万円は「収入」ではなく「所得(収入−経費)」で判断する
- 住民税には20万円ルールがないので、20万円以下でも申告が必要
- 医療費控除などで確定申告をする時は、20万円以下の副業所得も含めて申告する
- 収入・経費の記録とレシートの保管は、始めた時からやっておく
※税金の扱いは、個人の状況や制度の変更によって変わります。正確な情報は国税庁や市区町村、税理士などに確認してください。

