インフラエンジニアの職務経歴書は、意外と書きにくいものです。「サーバーを構築した」「運用を担当した」と書くだけでは、何ができる人なのかが伝わりません。SIerの場合は、お客さんの名前を出せないという悩みもあります。
私は30代、SIerで10年弱、クラウドやインフラを担当しています。2025年の夏に転職活動をして、最終面接で落ちた経験があります。そのとき職務経歴書で意識したのは、リーダーとしての経験、どのフェーズでどの役割を担当したか、どんな製品を扱ったかの3つです。そのときの反省も含めて、インフラエンジニアの職務経歴書の書き方を整理します。
※この記事の例文は、書き方を説明するための架空の例です。実際の案件の内容ではありません。
この記事の結論
- インフラエンジニアの職務経歴書は「フェーズ・環境・規模・役割・成果」の5つをそろえると伝わりやすい
- SIerの案件は、お客さんの業界と規模に言い換えて書く。顧客名や社内の情報は出さない
- 成果は、できるだけ数字(台数、期間、削減した時間など)で書く
- 応募先ごとに、求人に合う経験を上に持ってくる。同じ書類を使い回さない
職務経歴書の基本の構成
職務経歴書には決まった形式はありませんが、エンジニアの場合は次の構成が一般的です。
| 項目 | 書くこと | 目安の分量 |
|---|---|---|
| 職務要約 | これまでの経験を3〜5行でまとめる | 3〜5行 |
| 職務経歴 | 案件(プロジェクト)ごとに、期間・内容・役割・環境・成果 | 案件ごとに5〜10行 |
| 活かせる経験・スキル | 技術、得意な領域、強み | 箇条書きで5〜8個 |
| 資格 | 取得した資格と取得年月 | 必要な分だけ |
| 自己PR | 応募先で何ができるか | 5〜10行 |
全体でA4用紙2〜3枚くらいに収まると、読む人の負担になりにくいと言われます。
インフラエンジニアが書くべき5つの要素
案件ごとの職務経歴は、次の5つをそろえると、何ができる人なのかが伝わりやすくなります。
| 要素 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| フェーズ | どの工程を担当したか | 要件定義/基本設計/詳細設計/構築/テスト/運用・保守 |
| 環境 | 使った技術 | クラウド(AWS・Azure・Google Cloud)、OS、ミドルウェア、ネットワーク機器、自動化ツール |
| 規模 | システムやチームの大きさ | サーバーの台数、利用者数、チームの人数、期間 |
| 役割 | 自分の立場 | メンバー/サブリーダー/リーダー、担当した範囲 |
| 成果 | 何を実現したか、何を良くしたか | 作業時間の短縮、障害の減少、移行の完了 |
特に大切なのがフェーズです。インフラエンジニアの仕事は「設計ができるか」「構築だけか」「運用中心か」で評価が大きく変わります。担当した工程は、はっきり書きましょう。
案件の書き方の例
例:クラウド移行の案件(架空の例)
期間:20XX年4月〜20XX年3月(1年) 案件:製造業のお客さま向け、社内システムのクラウド移行 規模:サーバー約30台、チーム5名 役割:サブリーダー(インフラ設計・構築を担当) 担当フェーズ:基本設計/詳細設計/構築/移行テスト 環境:パブリッククラウド(仮想マシン、仮想ネットワーク、バックアップ)、Linux/Windows Server 内容と工夫: – オンプレミスの構成を調べ、クラウドでの構成案を作成 – 構築手順をスクリプト化し、同じ構成の環境を短時間で作れるようにした – 移行の手順書を作り、本番移行のリハーサルを2回実施 成果:計画どおりに移行を完了。環境の構築にかかる時間を、手作業のときより短くした
ポイントは、「何をしたか」だけでなく「どう工夫したか」「その結果どうなったか」まで書くことです。
SIerの職務経歴書で気をつけたいこと
お客さんの名前や、社内の情報は出さない
SIerの案件には、守秘義務があります。職務経歴書でも、お客さんの会社名や、社内のルール・ツールの名前は書かないようにしましょう。次のように言い換えると、伝わりやすさを保てます。
| 書かない方がいいこと | 言い換えの例 |
|---|---|
| お客さんの会社名 | 「大手製造業のお客さま」「金融機関のお客さま」 |
| システムの正式名称 | 「社内の基幹システム」「会員向けWebサービス」 |
| 社内のツールや独自の手順の名前 | 「社内の構成管理ツール」「独自の手順書」 |
| 具体的な金額や契約の内容 | 書かない |
業界や規模くらいまでにとどめておけば、経験の大きさは十分に伝わります。
「調整」や「管理」も、立派な経験として書く
SIerで経験を積むと、技術そのものより、お客さんや他社との調整、進捗の管理が仕事の中心になることもあります。そうした経験も、次のように書けば評価につながります。
- 複数の会社が関わる案件で、インフラ側の窓口として仕様の調整を担当
- 障害が起きたときに、原因の切り分けと関係者への報告をまとめた
- メンバー○名の作業の進め方を決め、進捗を管理した
古い案件は短く、最近の案件は詳しく
経歴が長くなってきたら、すべての案件を同じ分量で書く必要はありません。応募先に関係が深い案件と、最近の案件を詳しく書き、古い案件は短くまとめましょう。
職務要約と自己PRの例文
職務要約の例(架空の例)
SIerにて約○年、インフラエンジニアとしてサーバー・ネットワーク・クラウドの設計から構築、運用までを担当してきました。直近は、オンプレミスからクラウドへの移行案件で、サブリーダーとして設計・構築を担当しています。構築作業の自動化や手順の標準化に取り組み、作業時間の短縮につなげてきました。
自己PRの例(架空の例)
私の強みは、お客さまの要望を、設計・構築の手順にまで落とし込めることです。移行案件では、既存の構成を調べたうえで、無理のない移行の手順を設計し、計画どおりに完了させました。貴社では、これまでのクラウドの設計・構築の経験を生かし、○○(応募先のサービスや事業)のインフラの安定と改善に貢献したいと考えています。
自己PRの最後の一文は、応募先ごとに書き換える部分です。
応募先に合わせて書き直す
私が最終面接で落ちたとき、敗因はその会社の製品についての知見がなかったことだと考えています。書類や一次面接は通っても、「この会社で何ができるのか」を具体的に話せなければ、最後の段階で差がつきます(詳しくは最終面接で落ちる理由と対策)。
職務経歴書の段階から、次のように応募先に合わせて書き直しておくと、面接でも話しやすくなります。
- 求人票の「必須のスキル」「歓迎するスキル」に書かれている言葉を書き出す
- 自分の経験の中から、それに当てはまるものを探す
- 当てはまる案件を、職務経歴の上の方に持ってくる、または詳しく書く
- 自己PRの最後に、応募先の事業・製品でどう生かせるかを書く
書き終わったら確認したいこと
- [ ] 案件ごとに、フェーズ・環境・規模・役割・成果がそろっているか
- [ ] お客さんの会社名や、社内の情報が入っていないか
- [ ] 成果に、数字が1つ以上入っているか
- [ ] 応募先の求人に合う経験が、目に入りやすい位置にあるか
- [ ] 資格の名前と取得年月が正しいか
- [ ] 誤字・脱字がないか(声に出して読むと見つけやすい)
よくある質問
運用・保守しか経験がなくても、書けることはありますか?
あります。障害対応の件数や、対応にかかる時間を短くした工夫、手順書の整備、監視の改善などは、立派な経験です。「決まった作業をこなした」ではなく、「何を良くしたか」を書くようにしましょう。
資格は全部書いた方がいいですか?
応募先の仕事に関係する資格を中心に書きましょう。クラウドの資格や情報処理技術者試験(基本情報技術者など)は、インフラエンジニアの基礎知識の証明として書いておくと良いと思います。
転職エージェントに、職務経歴書を見てもらえますか?
多くの転職エージェントは、職務経歴書の添削をしてくれます。自分では当たり前だと思っていた経験が、評価されるポイントだったと気づけることもあります。エージェントの選び方はインフラエンジニアの転職エージェントの選び方にまとめています。
まとめ
- インフラエンジニアの職務経歴書は「フェーズ・環境・規模・役割・成果」をそろえる
- お客さんの名前は出さず、業界と規模に言い換える
- 成果はできるだけ数字で書く
- 応募先ごとに、求人に合う経験を上に持ってきて、自己PRを書き換える
自分の経験の価値を整理するには、インフラエンジニアの市場価値を上げるには?も参考にしてください。

