「SIerを辞めたい」と思ったことは、SIerで働いていれば一度はあるのではないでしょうか。私もあります。
私は30代、SIerで10年弱、クラウドやインフラを担当しています。2025年の夏に1社だけ転職活動をして、最終面接で落ちました。そのあとも「辞めたい」と「まだ残りたい」の間で考え続けて、今は「すぐには辞めない。ただし、残る期限を決める」という結論にしています。
この記事では、SIerを辞めたいと思ったときに、すぐ辞めるか、もう少し残るかを決めるための考え方を整理します。転職をすすめる記事でも、我慢をすすめる記事でもありません。自分で決めるための材料として読んでください。
この記事の結論
- 「辞めたい」の中身を分解すると、転職で解決することと転職しなくても変えられることに分かれる
- 心や体の不調が出ているなら、キャリアの損得より先に、休む・相談することを優先する
- 残ると決めるなら「いつまで」「何ができたら動くか」を決めておく。期限がないと、ずるずる迷い続ける
- 残る間に、職務経歴の棚卸しと市場価値の確認だけは進めておくと、動くときに慌てない
SIerを辞めたいと思う、よくある理由
SIerを辞めたいと感じる理由として、よく挙がるのは次のようなものです。会社や案件によって大きく違うので、あくまで一般的な傾向です。
| よくある理由 | 中身 |
|---|---|
| 調整や資料作成ばかりで、技術に触れられない | 立場が上がるほど、会議・調整・進捗管理の割合が増えやすい |
| 案件によって働き方が大きく変わる | 納期前や障害対応で忙しさに波がある。お客さん先で働くこともある |
| 多重下請けの構造 | 下の立場の会社ほど、決められることが少ない |
| 使う技術を自分で選べない | お客さんの方針や既存のシステムに合わせることが多い |
| 将来が不安 | AIの普及や、技術の変化についていけるかが心配 |
| 評価や年収への不満 | 頑張りが評価に結びつく実感が持ちにくい |
どれか1つではなく、いくつかが重なって「もう辞めたい」になっていることが多いと思います。
まずは「辞めたい」を分解する
辞めたい気持ちが強いときほど、理由がひとまとまりになって見えます。私が整理したときは、次の表のように分けてみました。
| 辞めたい理由 | 転職で解決しやすい? | 今の会社でも変えられる? |
|---|---|---|
| 担当する技術・仕事内容 | 解決しやすい(職種や会社を選べる) | 異動や案件の希望を出せることもある |
| 働き方(忙しさ・場所) | 会社によって大きく違う | 部署や案件の変更で変わることもある |
| 人間関係 | 解決することもあるが、転職先にも人はいる | 案件やチームが変われば変わることもある |
| 年収・評価 | 解決しやすい(評価の仕組みが違う会社を選べる) | 社内の制度による |
| 将来への不安 | 転職だけでは解決しない(どこでも学び続ける必要がある) | 学び方や関わる仕事を変えれば軽くなる |
こうして見ると、転職すればすべて解決するわけではないことが分かります。特に「将来への不安」は、会社を変えても残ります。逆に「担当する技術」や「評価の仕組み」は、転職で大きく変わりやすいものです。
自分の「辞めたい」が、表のどの行に当たるかを書き出してみてください。転職で解決しやすい理由が多いほど、転職を考える意味は大きくなります。
今すぐ離れた方がいいケース
次のような状態なら、キャリアの損得を考えるより先に、自分を守ることを優先してください。
- 眠れない、食欲がない、朝になると体が動かないなど、心や体に不調が出ている
- 長時間労働が続き、休みが取れない状態が当たり前になっている
- ハラスメントを受けている
こうした場合は、まず医療機関や、会社の相談窓口、労働基準監督署などの公的な相談窓口に相談してください。「転職するかどうか」を決めるのは、体調が落ち着いてからでも遅くありません。
「まだ残る」と決めるときの判断基準
すぐに離れる必要がない場合は、残るか動くかを次のような基準で考えると、迷いが減ります。
残る理由になりやすいこと
- 今の仕事で、まだ身につけたいスキルや経験がある
- 次の1〜2年で、経験できそうな仕事(設計、リーダー、新しい技術など)がある
- 転職先で何をしたいかが、まだはっきりしていない
動く理由になりやすいこと
- 今の会社では、やりたい仕事に関われる見込みがない
- 身につけたい技術が、今の会社では扱われていない
- 辞めたい理由の多くが「転職で解決しやすい」側にある
私の場合は、今の仕事にまだ成長の余地があると感じていることが、残る理由です。一方で、ずっと残ると決めたわけではありません。2027年の秋以降に転職できればと考えていて、それまでを「準備の期間」と位置づけています。
期限を決めないと、迷い続ける
私は以前、転職について調べるだけで満足して、一歩を踏み出せなかった時期がありました。情報を集めれば集めるほど、決められなくなっていきました。
その状態から抜け出せたのは、「とりあえず1社受けてみよう」と決めたときです。結果は最終面接で落ちましたが、調べ続けていた頃より、前に進んだ感覚がありました。落ちた理由を振り返って、次に何を準備すればいいかも見えてきました(詳しくは最終面接で落ちる理由と対策にまとめています)。
この経験から、「辞めたい」「でも残りたい」で迷っているなら、期限と条件を決めておくのがいいと思うようになりました。
| 決めておくこと | 例 |
|---|---|
| いつまで残るか | 「2027年の秋以降に動く」「今の案件が終わるまで」 |
| 残る間に何をするか | 「設計の経験を積む」「資格を1つ取る」 |
| どうなったら予定より早く動くか | 「体調を崩しそうになったら」「希望の仕事に関われないと分かったら」 |
| どうなったら残り続けるか | 「やりたい仕事に関われるようになったら」 |
期限が決まると、「今は辞めない」という判断にも納得しやすくなります。
残る間にやっておくこと
残ると決めても、何もしないで期限を迎えると、また同じところで迷います。次のことは、残る間に少しずつ進めておくのがおすすめです。
- 職務経歴の棚卸し:担当した案件、役割、使った技術、工夫したことを書き出しておく。時間がたつほど思い出せなくなります
- 市場価値の確認:自分の経験がどんな求人に当てはまるかを見ておく。考え方はインフラエンジニアの市場価値を上げるには?にまとめています
- 学ぶことを1つに絞る:クラウド、自動化、セキュリティなど、次の仕事につながるものを1つ選ぶ
- 転職サービスの違いを知っておく:エージェントとスカウト型では使い方が違います(転職エージェントとスカウト型の違い)
- 転職先の候補を知っておく:SIerからの転職先としては、社内SE、Web系企業、クラウドやインフラに強い会社などがよく挙がります(社内SEとSIerの違い)
どれも、一度に終わらせる必要はありません。平日の夜に少しずつ進められるものです。
SIerでの経験は、無駄にはならない
「辞めたい」と思っていると、今の仕事がすべて無駄に感じることがあります。でも、SIerで身につくことの中には、転職先でも生かしやすいものが多くあります。
- お客さんの要望を聞いて、仕様に落とし込む力
- 設計書や手順書を作り、ほかの人に伝える力
- 障害が起きたときに、原因を切り分けて対応した経験
- 複数の会社や部署と調整しながら、プロジェクトを進めた経験
これらは、職務経歴書や面接で伝え方を工夫すれば、評価につながる経験です。
よくある質問
SIerを3年未満で辞めるのは早いですか?
年数だけで良い・悪いは決まりません。ただ、短い期間で辞める場合は、面接で「なぜ辞めたのか」「次は何をしたいのか」を聞かれやすくなります。辞めたい理由と、次にやりたいことを、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
SIerを辞めて後悔することはありますか?
辞めたい理由が「転職では解決しにくいもの」だった場合、転職先でも同じ悩みが続くことがあります。辞める前に、理由を分解しておくことが後悔を減らす一番の方法だと思います。
辞める前に、次の会社を決めた方がいいですか?
体調に問題がなければ、在職中に転職活動をする方が、収入が途切れず、焦って決めずに済みます。体調に不安がある場合は、休むことを優先してください。
まとめ
- 「辞めたい」を分解すると、転職で解決しやすいことと、しにくいことに分かれる
- 心や体の不調があるなら、損得より先に休む・相談する
- 残るなら「いつまで」「何をするか」「どうなったら動くか」を決めておく
- 残る間に、職務経歴の棚卸しと市場価値の確認を進めておく
SIerからの転職を考え始めたときに整理したことは、SIerからの転職を考え始めたらにまとめています。

