2026年10月16日:月ごとの給与の目安、通勤手当の扱いの違い、年末に向けた確認の進め方を追加しました。
配偶者がパートで働いている、大学生の子どもがアルバイトをしている。そんな家庭では「年収いくらまでなら扶養に入れる?」という、いわゆる年収の壁が気になると思います。
令和8年度税制改正で、この税金の扶養の壁が変わりました。給与だけの場合、扶養親族になれる年収の目安は123万円以下から136万円以下になります(令和8・9年分)。
この記事では、国税庁の資料をもとに、何が変わったのか、そして変わっていない社会保険の壁との違いを整理します。
※内容は2026年10月時点の国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」などをもとにしています。社会保険(健康保険・年金)の扶養の基準は、加入している健康保険や勤務先の条件によって違うので、必ず確認してください。
この記事の結論
- 税金の扶養の要件は、合計所得金額58万円以下 → 62万円以下に(給与だけなら年収123万円以下 → 136万円以下)
- 19〜22歳の子(特定親族)は、年収136万円超197万円以下なら特定親族特別控除の対象
- 配偶者特別控除の対象は、年収136万円超207万円以下に
- 社会保険の扶養(130万円など)や、勤務先の社会保険の加入(106万円など)は、この改正とは別のルール
税金の扶養の要件はどう変わった?
国税庁の資料によると、令和8・9年分の所得要件は次のとおりです(カッコ内は、収入が給与だけの場合の年収の目安)。
| 区分 | 改正前 | 改正後(令和8・9年分) |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 | 58万円以下(123万円以下) | 62万円以下(136万円以下) |
| 特定親族(19〜22歳の子など) | 58万円超123万円以下(123万円超188万円以下) | 62万円超123万円以下(136万円超197万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 58万円超133万円以下(123万円超201万5,999円以下) | 62万円超133万円以下(136万円超207万円以下) |
| 勤労学生 | 85万円以下(150万円以下) | 89万円以下(163万円以下) |
改正は2026年12月1日に施行され、令和8年分(2026年1月〜12月の収入)から適用されます。
具体的にどう考える?
配偶者がパートで働いている場合
| 配偶者の年収(給与だけ) | 税金の扱い(令和8・9年分) |
|---|---|
| 136万円以下 | 配偶者控除の対象(本人の所得などの条件あり) |
| 136万円超207万円以下 | 配偶者特別控除の対象(年収に応じて控除額が変わる) |
| 207万円超 | 配偶者特別控除の対象外 |
※配偶者控除・配偶者特別控除は、本人(給与を受け取る側)の合計所得金額によっても控除額が変わります。
大学生の子どもがアルバイトをしている場合(19〜22歳)
| 子どもの年収(給与だけ) | 親の税金の扱い(令和8・9年分) |
|---|---|
| 136万円以下 | 特定扶養控除の対象 |
| 136万円超197万円以下 | 特定親族特別控除の対象(年収に応じて控除額が段階的に変わる) |
| 197万円超 | 対象外 |
社会保険の「壁」は別のルール
年収の壁には、税金の壁と社会保険の壁があります。今回の改正で変わったのは、税金の壁です。
| 壁の種類 | 内容 | 今回の改正 |
|---|---|---|
| 税金の扶養(扶養控除・配偶者控除など) | 家族の所得が一定以下なら、本人の税金が安くなる | 変わった(123万円→136万円など) |
| 社会保険の扶養(健康保険の被扶養者など) | 家族が一定の年収未満なら、本人の健康保険の扶養に入れる(130万円など) | この改正とは別のルール |
| 勤務先の社会保険の加入(106万円など) | 一定の条件を満たすと、勤務先で健康保険・厚生年金に加入する | この改正とは別のルール |
社会保険の扶養の基準は、加入している健康保険組合などによって確認方法が違うことがあります。「税金の扶養は外れないけれど、社会保険の扶養は外れる」ということも起こりうるので、両方を確認しましょう。
家族が新たに扶養の対象になったら
改正で、これまで扶養の対象外だった家族が新たに対象になる場合は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などを出す必要があります。年末調整の書類を書くときに、家族の今年の年収の見込みを確認しておきましょう。
年末調整全体の変更点は、令和8年分の年末調整は何が変わる?にまとめています。
年収の壁を確認するときのチェックリスト
- [ ] 家族の「今年1月〜12月」の年収の見込みを確認した
- [ ] 収入が給与だけか(給与以外の所得があると計算が変わる)
- [ ] 税金の扶養(136万円など)と、社会保険の扶養(130万円など)を分けて確認した
- [ ] 家族の勤務先で、社会保険に加入する条件(106万円など)を確認した
- [ ] 新たに扶養の対象になる家族がいれば、扶養控除等申告書を出した
ケース別の例
| ケース | 家族の年収(給与だけ) | 令和8年分の税金の扱いの例 |
|---|---|---|
| 配偶者がパート | 130万円 | 改正前は配偶者特別控除、改正後は配偶者控除の対象(本人の所得などの条件あり) |
| 大学生の子のアルバイト | 150万円 | 改正前は特定親族特別控除、改正後も特定親族特別控除の対象(控除額は年収で変わる) |
| 高校生の子のアルバイト | 130万円 | 改正前は扶養控除の対象外、改正後は扶養控除の対象(16歳以上の場合) |
※あくまで考え方の例です。実際の扱いは、本人の所得や家族の年齢などの条件によって変わります。
月ごとの給与に直すと、いくらまで?
年収の壁は「1年分(1月〜12月)」で判断します。月ごとの給与に直すと、目安は次のとおりです。
| 年収の目安 | 月あたり(12で割った目安) | 主に関係するルール |
|---|---|---|
| 136万円 | 約11.3万円 | 税金の扶養(令和8・9年分) |
| 130万円 | 約10.8万円 | 社会保険の扶養の目安 |
ボーナスや、年の途中で働く時間が増えた月があると、12で割った目安とはずれます。「1月から今月までの合計」+「残りの月の見込み」で考えるのが確実です。
通勤手当は、税金と社会保険で扱いが違う
見落としやすいのが、通勤手当(交通費)の扱いです。
| 区分 | 通勤手当の扱い |
|---|---|
| 税金の扶養(136万円など) | 非課税の範囲の通勤手当は、年収に含めない |
| 社会保険の扶養(130万円など) | 通勤手当も年収に含めて考えるのが一般的 |
税金では大丈夫でも、通勤手当を含めると社会保険の扶養の基準を超える、ということがあります。社会保険の扶養の基準は、加入している健康保険組合などの案内で確認してください。
年末に向けた確認の進め方
- 家族の給与明細で、1月からの合計を出す(通勤手当は分けておく)
- 12月までの残りの見込みを足す(シフトが決まっている分)
- 税金の扶養(136万円など)と、社会保険の扶養(130万円など)の両方と比べる
- 年末調整の書類に、家族の年収の見込みを書く
見込みが外れて基準を超えた(または下回った)ことが年明けに分かった場合は、年末調整のやり直しや確定申告で調整できることがあります。勤務先の担当部署に相談してください。
よくある質問
136万円を少し超えたら、手取りが大きく減りますか?
税金の面では、配偶者特別控除や特定親族特別控除によって、控除額が段階的に減るしくみになっています。ただ、社会保険の扶養から外れると、保険料の負担が発生することがあります。
年収の見込みが変わったらどうすればいいですか?
年末調整の時点で見込みと実際がずれた場合は、勤務先に相談するか、確定申告などで調整します。
令和10年分以後も同じですか?
国税庁の資料では、カッコ内の「年収の目安」は、令和8・9年分の給与所得控除をもとにした金額として示されています。令和10年分以後の年収の目安は変わる可能性があるので、改めて国税庁の情報を確認してください。
給与以外の収入(フリマアプリの売上など)がある場合は?
給与以外の所得がある場合は、合計所得金額の計算が変わります。不用品の売却など、所得にならないものもあります。判断が難しい場合は、国税庁の資料や税務署で確認してください。
まとめ
- 税金の扶養の要件は、年収123万円以下→136万円以下に(令和8・9年分、給与だけの場合)
- 19〜22歳の子は年収136万円超197万円以下で特定親族特別控除の対象
- 配偶者特別控除は年収136万円超207万円以下が対象
- 社会保険の扶養や加入の基準は別のルール。両方を確認する
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(2026年10月確認)

