住宅ローン控除中は繰上返済しない方がいい?会社員の私が投資を優先している理由

住宅ローン控除中は繰上返済しない方がいい?会社員の私が投資を優先している理由 お金・生活

住宅ローンを組んでいると、「繰上返済をして、早くローンを減らした方がいいのでは?」と考えることがあると思います。

私は30代の会社員で、住宅ローンがあります。今は住宅ローン控除の期間中なので、繰上返済はせず、その分を新NISAでの投資に回しています。

この記事では、住宅ローン控除の仕組みと、控除の期間中に繰上返済をすると何が起きるのか、私が投資を優先している理由をまとめます。

この記事の結論

  • 住宅ローン控除:年末のローン残高の0.7%が、税金から差し引かれる(令和4年以降の入居の場合)
  • 繰上返済すると:年末の残高が減るので、控除の額も減る
  • 金利が0.7%より低いなら:控除の期間中は、繰上返済のメリットが小さくなりやすい
  • 私の判断:控除の期間中は繰上返済をせず、新NISAでの積立を優先
  • ただし:金利が高い、残高が気になって眠れないなど、人によっては繰上返済が合う場合もある

住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを使って家を買った人の税金が軽くなる制度です。

項目 内容(令和4年以降に入居した場合)
控除の額 年末のローン残高 × 0.7%
控除の期間 新築などは最長13年(住宅の種類や入居年によって異なる)
残高の上限 住宅の省エネ性能などによって異なる
引かれる税金 所得税(引ききれない分は、一部が住民税から)

※住宅の種類や入居した年によって、条件が大きく違います。自分の条件は、国税庁や国土交通省の案内で確認してください。

令和8年度(2026年度)の税制改正で、住宅ローン控除は入居日が2030年(令和12年)12月31日までの人まで、5年間延長されました。省エネ性能の高い中古住宅への支援の拡充(借入限度額の引き上げ、控除期間13年など)や、床面積の要件の緩和(原則40㎡以上)も行われています(国土交通省「住宅ローン減税」2026年6月更新)。

また、控除できるのは、実際に払っている所得税と住民税(住民税は上限あり)の範囲までです。年末残高×0.7%がまるごと戻るとは限らないので、源泉徴収票や住民税の通知で、自分がいくら控除を受けているかを一度確認しておくと判断しやすくなります。

控除の期間中に繰上返済すると何が起きるか

年末の残高が減るので、控除も減る

控除の額は、年末のローン残高で決まります。繰上返済をすると残高が減るので、その分、控除の額も減ります。

金利が0.7%より低いと「逆ざや」になる

例えば、ローンの金利が年0.5%の場合を考えます。

項目 残高100万円あたり(1年)
払う利息(金利0.5%) 約5,000円
受けられる控除(0.7%) 約7,000円

この場合、ローンを残しておく方が、払う利息より控除の方が多くなります(いわゆる「逆ざや」)。繰上返済で残高を減らすと、この差の分だけ得られたはずの控除がなくなってしまいます。

※実際の控除の額は、所得税・住民税の額や上限によって変わります。あくまで考え方の例です。

繰上返済で、控除そのものが受けられなくなることも

住宅ローン控除を受ける条件の1つに「返済期間が10年以上であること」があります。国税庁の質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」によると、繰上返済の後は、次の期間で判定されます。

  • 当初の契約で最初に返済した月から、繰上返済後の最後の返済月までが10年以上 → その後も控除を受けられる
  • 10年未満になった → その年以後は控除を受けられない

たとえば、借りてから3年後に期間短縮型で大きく繰上返済して、最後の返済が「借りてから8年後」になると、10年未満になるので、その年から控除が受けられなくなります。期間短縮型で大きな額を返す時は、特に注意が必要です。

控除の期間中に、繰上返済より投資を優先する考え方

私は今、住宅ローン控除の期間中なので、繰上返済はしていません。その分のお金は、新NISAでの積立に回しています。

控除の期間中に、繰上返済より投資を優先する理由としては、主に次の2つが挙げられます。

  1. 控除の期間中は、繰上返済のメリットが小さくなりやすい:上で書いたように、残高を減らすと控除も減るため
  2. 手元にお金を残しておける:繰上返済をしたお金は、基本的に戻ってきません。子育て中は急な出費もあるので、すぐに使えるお金や、長期の積立に回しておく方が、選択肢を残しておけます

なお、生活防衛資金として、生活費の3か月分くらいは投資とは別に置いています。

金利が上がってきたら、判断を見直す

ここまでの「金利が0.7%より低いなら、控除の期間中は繰上返済を急がない」という考え方は、金利が低いことが前提です。

変動金利で借りている場合、金利が上がると、払う利息が控除を上回ることがあります。たとえば、金利が0.5%から1.0%に上がると、上の例では「控除の方が多い」状態から「利息の方が多い」状態に変わります。

確認するタイミング 確認すること
金利の見直し(変動金利は年2回などが多い) 今の金利が0.7%より高いか、低いか
毎年の年末(残高証明書が届いた時) 年末残高と、受けられる控除の額
控除の期間が終わる年 繰上返済を始めるかどうか

一度決めたら終わりではなく、金利と控除の状況を、年に1〜2回は見直すのがおすすめです。

繰上返済が向いている人もいる

ただし、繰上返済が合う人もいます。

繰上返済を考えてもいい人 理由
ローンの金利が0.7%より高い 控除より、払う利息の方が多くなりやすい
控除の期間が終わった 控除が減る心配がなくなる
ローンの残高が気になって、強いストレスを感じる 数字の損得より、気持ちの安心を優先する考え方もある
投資の値動きが不安で、続けられそうにない 確実に利息を減らせる繰上返済の方が合う場合がある

「数字の上での正解」より、「自分が続けられる形」を選ぶことも大切です。

投資する時の注意点

  • 投資は元本保証ではない:値下がりして損をすることもあります。繰上返済のように「確実に利息が減る」ものとは性質が違います
  • 生活防衛資金を先に確保する:急な出費に備えるお金を削って投資に回すのは避けましょう
  • 教育費など、使う時期が決まっているお金は分けて考える

住宅ローンと子育てがある中での投資の優先順位は、住宅ローンと子育てがある会社員はどう投資する?にまとめています。

数字で見る:控除と利息の関係

年末のローン残高が3,000万円の場合で、考え方の例を見てみます。

ローンの金利 1年間に払う利息(概算) 1年間の控除(0.7%) 差
0.5% 約15万円 約21万円 控除の方が約6万円多い
1.0% 約30万円 約21万円 利息の方が約9万円多い

金利が0.7%より低い場合、ローンを残しておく方が、払う利息より控除の方が多くなります。逆に、金利が0.7%より高い場合は、利息の方が多くなるので、繰上返済で利息を減らす効果が大きくなります。

100万円を繰上返済した場合

ローンの金利 減る利息(1年あたり・概算) 減る控除(1年あたり・概算)
0.5% 約5,000円 約7,000円
1.0% 約1万円 約7,000円

※あくまで考え方の例です。実際の控除の額は、所得税・住民税の額、住宅の種類ごとの残高の上限、控除の上限などによって変わります。利息も、返済の方法や時期によって変わります。

繰上返済をする前に確認したいこと

確認すること 内容
手数料 金融機関や、ネットか窓口かで違う。ネットなら無料のところも多い
1回の最低額 「1万円から」「100万円から」など、金融機関によって違う
団体信用生命保険(団信) 万一の時に、ローンの残りは団信で返される。繰上返済で返したお金は、手元には戻らない
手元のお金 繰上返済で払ったお金は、あとから借り直すのが難しい。教育費や急な出費の分は残しておく

繰上返済の2つの方法

方法 内容 向いている人
期間短縮型 毎月の返済額は同じで、返済期間を短くする 利息をできるだけ減らしたい人
返済額軽減型 返済期間は同じで、毎月の返済額を減らす 毎月の家計の負担を軽くしたい人

一般的に、利息を減らす効果は期間短縮型の方が大きいと言われます。ただし、期間短縮型で返済期間を大きく短くすると、住宅ローン控除の条件(10年以上の返済期間)から外れることがあるので注意が必要です。

判断の流れ

  1. 金利を確認する:ローンの金利は0.7%より低いか、高いか
  2. 控除の期間を確認する:控除の期間中か、終わっているか
  3. 生活防衛資金を確認する:繰上返済や投資に回しても、いざという時のお金は残るか
  4. 気持ちの面を確認する:ローンの残高が強いストレスになっていないか、投資の値動きに耐えられそうか

金利が低く、控除の期間中で、生活防衛資金もあるなら、繰上返済を急がない選択肢を検討しやすくなります。

よくある質問

変動金利が上がってきました。繰上返済に切り替えた方がいいですか?

金利が0.7%を超えると、控除の期間中でも、払う利息の方が控除より多くなりやすくなります。ただし、繰上返済で手元のお金を減らしすぎると、急な出費に対応できなくなります。生活防衛資金を残したうえで、金利と控除の額を比べて考えましょう。

控除の期間が終わったら、繰上返済した方がいいですか?

金利の水準や、手元のお金の状況によります。控除がなくなると、繰上返済で利息を減らす効果がそのまま得られるので、選択肢として考えやすくなります。

期間短縮型と返済額軽減型、どちらがいいですか?

利息を減らす効果は、一般的に期間短縮型の方が大きいと言われます。一方、返済額軽減型は毎月の負担が軽くなります。どちらが合うかは、家計の状況で変わります。

住宅ローン控除の条件は、どこで確認できますか?

国税庁のホームページや、税務署で確認できます。入居した年や住宅の種類によって条件が違うので、自分の場合を必ず確認してください。

関連:新NISAを始める前に決めた3つのルール

まとめ

  • 住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が税金から差し引かれる(令和4年以降の入居の場合)
  • 繰上返済をすると残高が減るので、控除も減る
  • 金利が0.7%より低いと、控除の期間中は繰上返済のメリットが小さくなりやすい
  • 私は控除の期間中は繰上返済をせず、新NISAでの積立を優先している
  • 金利が高い人や、残高が強いストレスになる人は、繰上返済が合う場合もある

※この記事は、特定の判断をすすめるものではありません。税金の扱いは個人の状況や制度の変更によって変わります。正確な情報は、国税庁や金融機関、税理士などに確認してください。

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