「iDeCoとNISA、どっちから始めればいいの?」というのは、資産づくりを考え始めた会社員がよく迷うところだと思います。
私は30代の会社員で、新NISAで毎月15万円を積み立てています。一方で、iDeCoはまだ始めていません。この記事は、iDeCoをまだ始めていない立場から、2つの制度の違いと、どう決めればいいかを整理したものです。自分のための整理でもあります。
※制度の内容は2026年10月時点で、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)や金融庁の情報をもとにしています。税金や掛金の上限は人によって違うので、最新の情報と自分の条件は公式サイトや勤務先で確認してください。
この記事の結論
- 一番の違いは引き出せる時期。iDeCoは原則60歳まで引き出せない。NISAはいつでも引き出せる
- iDeCoは掛金が全額、所得控除になるので、税金が安くなる。NISAにはこの効果はない
- 会社員は、勤務先の企業年金(企業型DCなど)の有無で、iDeCoに入れるか・いくらまで出せるかが変わる
- 迷ったら、「生活防衛資金 → NISA → 余裕があればiDeCo」の順で考えると、お金が動かせなくなる心配が少ない
iDeCoとNISAの違い
| 項目 | iDeCo(個人型確定拠出年金) | 新NISA |
|---|---|---|
| 目的 | 老後の資金づくり(年金制度) | 資産づくり全般(非課税の制度) |
| 引き出せる時期 | 原則60歳まで引き出せない | いつでも売って引き出せる |
| 掛金・投資したお金 | 全額が所得控除(税金が安くなる) | 所得控除はない |
| 運用で増えた分 | 非課税 | 非課税 |
| 受け取るとき | 税金の対象(退職所得控除・公的年金等控除などが使える) | 非課税 |
| 金額の上限 | 加入区分(働き方・企業年金の有無)によって違う。月5,000円から、1,000円単位 | 年360万円まで、生涯1,800万円まで |
| 手数料 | 加入時・毎月の手数料がかかる(金融機関によって違う) | 口座の管理手数料は、無料の金融機関が多い |
| 加入できる人 | 公的年金の被保険者など(条件あり) | 18歳以上の日本に住む人 |
iDeCoは「老後のためのお金」、NISAは「いつ使ってもいいお金」と考えると分かりやすいです。
iDeCoで税金がどれくらい安くなるか(計算例)
iDeCoの掛金は、全額が所得控除になります。どれくらい税金が安くなるかを、簡単な例で計算してみます。
例:毎月1万円をiDeCoに積み立てた場合
- 1年間の掛金:1万円 × 12か月 = 12万円
- 所得税の税率が10%、住民税が10%の人の場合
- 安くなる税金の目安:12万円 × (10% + 10%) = 年2万4,000円
※所得税の税率は、課税所得によって5%〜45%まで変わります。復興特別所得税などは含めていない、あくまで目安です。
税率が高い人ほど、iDeCoで安くなる税金は大きくなります。逆に、課税所得がない人(専業主婦・主夫など)は、掛金の所得控除による節税効果はありません。
税率別に見ると、どれくらい違う?
同じ月1万円(年12万円)の掛金でも、所得税の税率によって、安くなる税金の目安は変わります(住民税10%を含む)。
| 所得税の税率 | 安くなる税金の目安(年) |
|---|---|
| 5% | 約1万8,000円 |
| 10% | 約2万4,000円 |
| 20% | 約3万6,000円 |
※復興特別所得税などは含めていない概算です。
受け取るときの税金も考える
iDeCoは、受け取るときに「退職所得控除」や「公的年金等控除」を使えますが、受け取り方や退職金の額によっては税金がかかることがあります。積み立てるときの節税額だけで判断しないのがポイントです。一方、NISAは、売ったときの利益に税金がかかりません。
会社員は「勤務先の企業年金」を先に確認する
会社員の場合、iDeCoに入れるか、いくらまで掛けられるかは、勤務先の企業年金の制度によって変わります。
| 勤務先の制度 | 確認したいこと |
|---|---|
| 企業年金がない | iDeCoに入れる。掛金の上限を公式サイトで確認 |
| 企業型確定拠出年金(企業型DC)がある | iDeCoに入れるか、上限がいくらかは制度の設計しだい。企業型DCに上乗せできる「マッチング拠出」との違いも確認 |
| 確定給付企業年金(DB)がある | iDeCoに入れるが、上限が変わることがある |
iDeCo公式サイトでは、企業型DCに加入している人のうち、事業主の掛金を年単位で出している場合や、マッチング拠出をしている場合は、iDeCoに加入できないと案内されています。
自分の勤務先の制度は、就業規則や社内の案内、人事・総務の担当部署で確認できます。
どっちを優先するか、決める順番
私が整理した順番は、次のとおりです。
ステップ1:生活防衛資金を用意する
まずは、急な出費や収入が減ったときに備える現金を用意します。私の場合は、生活費の3か月分くらいを確保しています。考え方は貯金と投資、どっちが先?にまとめています。
ステップ2:近い将来に使うお金があるかを考える
教育費、住宅の購入、車の買い替えなど、60歳より前に使う予定のお金があるなら、いつでも引き出せるNISAの方が合っています。
ステップ3:勤務先の企業年金を確認する
ステップ2で余裕があり、老後のためのお金も増やしたいと思ったら、iDeCoを考えます。その前に、勤務先の企業年金の制度を確認しておきましょう。
ステップ4:税率と手数料を比べる
iDeCoは、税金が安くなる効果がある一方で、毎月の手数料がかかります。掛金が少ないと、手数料の割合が大きくなります。自分の税率で、どれくらい税金が安くなるかを計算して、手数料と比べてみてください。
iDeCoが向いている人・NISAを優先した方がいい人
iDeCoが向いている人
- 老後のためのお金を、確実に分けておきたい(引き出せないことが、逆に良い)
- 所得税の税率が高く、節税の効果が大きい
- 生活防衛資金があり、NISAでの積み立ても続けられている
NISAを優先した方がいい人
- 教育費や住宅など、60歳より前に使うお金を準備したい
- 生活防衛資金がまだ十分でない
- 収入が不安定で、掛金を出し続けられるか不安
私は今のところ、新NISAでの積み立てを優先しています。住宅ローンや子育ての中での投資の考え方は、住宅ローンと子育てがある会社員はどう投資する?にまとめています。
iDeCoを始める前に確認したいこと
- [ ] 勤務先の企業年金の制度(企業型DC・DBの有無、マッチング拠出の有無)
- [ ] 自分の加入区分と、掛金の上限(iDeCo公式サイトで確認)
- [ ] 60歳まで引き出せなくても、生活に困らないか
- [ ] 金融機関ごとの手数料と、選べる商品
- [ ] 年末調整で、掛金の控除を申告する方法(会社員は年末調整で手続きできることが多い)
よくある質問
iDeCoとNISAは、両方使えますか?
両方使えます。それぞれの上限の範囲で、組み合わせて使うことができます。
iDeCoを途中でやめることはできますか?
掛金を出すのを止めることはいつでもできますが、それまでに積み立てた資産は、原則60歳まで引き出せません。また、掛金を止めても、口座の管理手数料はかかり続けます。
iDeCoの掛金は、あとから変えられますか?
iDeCo公式サイトによると、掛金の額は1年(12月分から翌年11月分の間)に1回変えられます。
転職したら、iDeCoはどうなりますか?
転職先の企業年金の制度によって、手続きが変わります。転職したときは、iDeCoの金融機関に届け出が必要になることがあります。
まとめ
- iDeCoは原則60歳まで引き出せない代わりに、掛金が全額所得控除になる
- NISAはいつでも引き出せるが、所得控除の効果はない
- 会社員は、勤務先の企業年金によってiDeCoの条件が変わるので、先に確認する
- 迷ったら「生活防衛資金 → NISA → 余裕があればiDeCo」の順で考える
新NISAの使い方は、新NISAを始める前に決めた3つのルールにまとめています。

