2026年10月:最新の料金・モデルの情報と、工程ごとの変化の整理を追加しました。
「AIで仕事が変わる」と言われても、実際に何がどれくらい変わるのかは、使ってみないと分かりません。
私は30代、SIerで設計・構築を担当しているエンジニアです。妻と小さい子どもとの3人暮らしで、昨年から個人でClaude Code(Anthropic社のAIツール)を使い続けています。
結論から書くと、案の検討や大枠づくりに2日かかっていた作業が、2時間ほどで終わるようになりました。一方で、もっともらしい嘘の情報を混ぜてくることもあり、「全部任せられる」状態にはほど遠いのが実感です。
この記事では、実際の使い方と失敗、Codex(OpenAI社のAIツール)との違い、そしてSIerの仕事がこれからどう変わりそうかを、2026年10月時点の情報で整理します。
この記事の結論
- 変わること:たたき台・大枠をつくる時間は大きく減る(私の場合、2日 → 2時間)
- 変わらないこと:仕様が正しいかの確認と、最終判断は人間の仕事のまま
- これから価値が上がるのは:AIへの指示の出し方と、AIの出力を検証できる力
- 次の一歩:まずは個人の題材で、Claude Codeに「たたき台」を1つ作らせてみる
私のClaude Codeの使い方
まず、私がどんな使い方をしているかを書いておきます。
| 項目 | 私の場合 |
|---|---|
| 使い始めた時期 | 昨年から |
| 頻度 | 週に3回ほど |
| プラン | Proプラン(個人で契約) |
| 主な使い道 | 案の検討、技術的な大枠(全体像)の作成 |
使い道の中心は、「何かを考え始めるときの最初の一歩」です。
例えば、ある構成を考えるときに「選択肢を洗い出す → それぞれの長所と短所を整理する → 全体の骨組みを作る」という作業があります。以前はこれに2日ほどかかっていましたが、Claude Codeと対話しながら進めると、2時間ほどでたたき台までたどり着けるようになりました。
ただし、2時間で出てくるのはあくまで「たたき台」です。そこから先の確認と判断は、今も自分でやっています(詳しくは後半で書きます)。
使って分かった注意点
Claude Codeは便利ですが、使い続けて分かった注意点が3つあります。
1. 指示の出し方(プロンプト)で精度が大きく変わる
同じことを頼んでも、指示の出し方で結果の質がかなり変わります。
体感として差が出やすいのは、次のような点です。
- 目的(何のために作るのか)を伝えているか
- 前提条件や制約(使える技術、守るべきルール)を伝えているか
- 出してほしい形(表、箇条書き、たたき台の粒度)を指定しているか
あいまいな指示には、あいまいな答えが返ってきます。「AIの性能」より「頼み方」の影響が大きい、というのが正直な実感です。
2. もっともらしい嘘を混ぜてくる(ハルシネーション)
AIは、事実ではない内容を、自信ありげに書いてくることがあります。これを「ハルシネーション」と呼びます。
私も、存在しない仕様や、正しそうに見えて実は間違っている情報を出されたことが何度もあります。文章が自然なぶん、知識がないと気づけないのが怖いところです。
3. 仕様の部分は、必ず自分で確認する
そのため私は、仕様に関わる部分は必ず自分でチェックするようにしています。
AIに任せるのは「考える材料を広げる」「骨組みを作る」ところまで。製品の仕様・設定値・制約など「間違えると困る部分」は、公式ドキュメントなどの一次情報で裏を取ってから使います。
逆に言えば、確認できる知識がない分野でAIに頼りきるのは危険です。AIを使うほど、自分の基礎知識の大切さを感じます。
Claude CodeとCodexの違い
よく比較される2つのツールを整理します。なお、私はCodexを実際には使ったことがありません。Codexについては公式情報をもとにまとめています。
| 項目 | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | OpenAI |
| 使える場所 | ターミナル、VS Code・JetBrainsなどの開発ツール、デスクトップアプリ、ブラウザ | ターミナル、デスクトップアプリ、ブラウザ(クラウド環境)など |
| 個人向けの料金 | Pro:月22ドル(日本の表示・税込み。年払いなら月18ドル相当)/Max:110ドルから | ChatGPTのプランに含まれる。Go:月8ドル/Plus:月20ドル/Pro:月100・200・500ドル |
| 無料プランでの利用 | 不可(有料プランが必要) | 無料プランでも一部利用可 |
| 特徴(公式情報より) | 手元のファイルを読み書きし、コマンドを実行しながら作業を進める。ほかのツールとの連携や、定期実行の機能もある | 複数の端末から使えるクラウドの作業環境、コードレビュー、リポジトリのセキュリティ検査などを提供。ChatGPT Workと使用量を共有 |
| 主なモデル(2026年10月) | Claudeの各モデル | GPT-6.1 Sol、GPT-6 Luna(GPT-5.5は10月14日で提供終了) |
※料金・機能は2026年10月時点の公式情報です。変更されることがあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。
どちらを選べばいい?
すでにChatGPTの有料プランを使っているならCodex、Claudeの有料プランを使っているならClaude Codeから試すのが、追加の費用がかからず手軽です。
私はClaude Codeしか使っていないので、性能の優劣は断言できません。ただ、どちらを使うにしても、この記事で書いた注意点(指示の出し方・ハルシネーション・仕様の確認)は共通だと考えています。
Codexの機能をもう少し詳しく知りたい方は、Codexとは何ができるのかにまとめています。
SIerの設計・構築の仕事はどう変わるか
ここからは、実際に使ってみたうえでの私の見立てです。
工程ごとに、AIが手伝えることと、人に残ること
SIerの仕事を工程ごとに分けると、AIが手伝いやすいところと、人が担い続けるところがはっきりしてきます。私の見立てを表にしました(会社の業務での使い方ではなく、一般的な整理です)。
| 工程 | AIが手伝いやすいこと | 人に残ること |
|---|---|---|
| 要件定義 | ヒアリング内容の整理、論点や確認漏れの洗い出し | 顧客と合意すること、何を作らないかを決めること |
| 設計 | 構成案の洗い出し、長所と短所の整理、設計書のたたき台 | 選択肢の判断、非機能(性能・可用性・セキュリティ)の作り込み |
| 構築 | 設定ファイルやスクリプトのたたき台、手順書の下書き | 仕様・設定値が正しいかの確認、本番での実行 |
| テスト | テスト項目の洗い出し、テストデータの作成 | 何をもって合格とするかの判断 |
| 運用 | ログの要約、障害の原因の候補出し | 影響範囲の判断、顧客への説明、再発防止の決定 |
どの工程でも、AIは「たたき台」と「洗い出し」が得意で、人は「判断」と「責任」を持つ、という分担になると考えています。
「つくる時間」は減り、「確かめる時間」の比重が上がる
私の場合、たたき台をつくる時間は2日から2時間に減りました。ただ、その分、出てきたものが正しいかを確かめる時間の比重は上がっています。
仕事全体で見ると、「手を動かして作る」から「方向を決めて、確かめて、判断する」へ、重心が移っていく感覚です。
価値が下がりやすい仕事
- 過去の資料を流用すれば作れる、定型的なドキュメント
- パターンが決まっている設定作業や構築作業
- 仕様が決まっていれば誰でも書けるコードやスクリプト
これらは「なくなる」というより、「AIを使えば、以前よりずっと少ない時間でできる」仕事です。同じ時間をかけていると、相対的に評価されにくくなっていくと思います。
価値が上がりそうな仕事
- AIの出力を検証できる力:仕様・設定値・制約の正しさを、一次情報で確かめられる
- AIへの指示を設計する力:目的・前提・出力の形を、過不足なく伝えられる
- 全体を設計する力:システム全体の構成や、選択肢のトレードオフを判断できる
- 顧客の業務と技術をつなぐ力:何を作るべきかを決められる
- 責任を持って判断する力:最終的に「これで本番に出す」と決めるのは人間
特に1つ目は、使えば使うほど重要だと感じています。AIが速く大量に作れるようになるほど、「それが正しいか」を見抜ける人の価値は上がります。
顧客側の内製化も進む
AIツールが広まると、システムを発注する側の企業も、自分たちでたたき台を作れるようになります。「何となくSIerに頼む」理由は、少しずつ減っていくはずです。
だからこそSIerのエンジニアには、「AIを使ってもできないこと」、つまり全体設計や検証、責任ある判断で価値を出すことが求められていくと考えています。言いかえると、言われたものを作る「作り手」から、顧客の業務を理解して、何を作るべきかを一緒に考える「伴走者」に近づいていく、というイメージです。
これからSIerエンジニアがやっておきたいこと
最後に、私自身が意識していることを書きます。
- 個人の題材で使い倒す:会社の業務では、情報の扱いのルールがあって自由に試せないことが多いです。私も個人で契約して使っています。業務に活かすのは、使い方の感覚をつかんでからでも遅くありません。
- 「頼み方」を記録する:うまくいった指示の出し方をメモしておくと、次から使い回せます。毎回伝える前提やルールは、Claude Codeなら CLAUDE.md というファイルに書いておく方法もあります。
- 確認できる知識を持ち続ける:AIが書いたものを確かめられるよう、基礎知識の勉強はむしろ大事になったと感じます。
- 会社の外でも通用する力を意識する:AIで仕事の中身が変わる以上、今の会社の中だけで評価される働き方には不安があります。
4つ目については、会社員の収入だけに頼るのが不安になった理由や、投資・副業・転職、どれを優先する?に詳しく書いています。
よくある質問
Claude Codeは無料で使えますか?
使えません。Claude Codeを使うには、Claudeの有料プラン(Pro:日本では税込み月22ドル〜)か、開発者向けのAPI契約が必要です(2026年10月時点)。まず試すなら、Proプランが手軽です。
プログラミングができなくても使えますか?
使うこと自体はできます。日本語で指示すれば、コードや文書を作ってくれます。ただ、出てきたものが正しいかを確認できないと危険なので、少なくとも「自分で確かめられる範囲」から使い始めるのがおすすめです。
会社の仕事で使ってもいいですか?
会社のルール次第です。多くの会社では、顧客情報や社内の機密情報を外部のAIサービスに入力することが制限されています。業務で使う前に、必ず社内の規程や情報システム部門に確認してください。
Claude CodeとCodex、どちらがいいですか?
すでに契約しているサービスがあるなら、そちらに含まれる方から試すのがおすすめです。どちらも、指示の出し方と出力の確認が大事な点は変わりません。
関連:Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 5.5まとめ|どれを使えばいい?
まとめ
- Claude Codeを使い続けて、案の検討や大枠づくりは2日から2時間ほどに縮んだ
- 一方で、指示の出し方で精度が大きく変わり、もっともらしい嘘も混ざる
- だからこそ、仕様に関わる部分は必ず自分で確認している
- SIerの仕事は「つくる」から「確かめて判断する」へ重心が移っていく
- これから価値が上がるのは、AIへの頼み方と、AIの出力を検証できる力
AIは「仕事を奪うもの」というより、「使える人と使えない人の差を広げるもの」だと感じています。まずは個人の題材で、たたき台を1つ作らせてみるところから始めてみてください。
AIで仕事がどう変わるかは、今後もこのブログで考えていきます。


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